療養所と療養者をめぐるあたらしい歴史像を開く
「リプリント 国立療養所大島青松園史料シリーズ」刊行にあたって
監修 阿部安成
「リプリント 国立療養所大島青松園史料シリーズ」では、「癩」そしてハンセン病にかかわる療養所で発行された刊行物をとりあげてゆく。1909年に法律「癩予防ニ関スル件」とその関連法が施行されると、香川県木田郡の大島に公立の療養所が設置され、ついでその施設は大島療養所と名づけられた。この療養所で活動を始めたキリスト教信徒団体、自治組織、慰藉会などが逐次刊行物を発行してゆく。本シリーズでは、これら園内で発行された歴史資料のリプリント版を公開する。このシリーズには、初めて公開される逐次刊行物、自治組織の発信する機関紙、1945年8月をはさむその前後に継続して園内で回覧された手書き手づくりの雑誌などがふくまれている。こうした歴史資料をとおして、読者のそれぞれが、これまでとはちがう療養所と療養者をめぐるあたらしい歴史像を開いてゆくことを期待する。そうした可能性をこのシリーズは発信している。